「分かりました。」

「院長!?」

看護師の林さんが、(驚いた事に、この人も林さんなのね。)お父様を止めた。

「いづれ、向き合わなければいけない事だ。」

「はい。」

「部屋には、私が案内しよう。来なさい、つむぎさん。」

私は、お父様の後を二つ返事で、追いかけた。

「空はね、一番上にいるんだよ。」

お父様はどこか楽しそうに、エレベーターの最上階を押した。

「私もね。一日に一度は、空の顔を見に行くんだよ。」

その時、お父様も一人のおじい様なんだと、気づかされた。


最新式のエレベーターは、息もつかせないスピードで、私達を最上階に運んだ。

「ここだよ。」

そこにはVIP用の個室が、いくつも並んでいた。

「一番奥なんだ。」

誰もここまで来ないような、一番奥ばった部屋に、”折橋空”と名前が書いてあった。


「いいかね、心の準備は。」

「はい。」

元から覚悟を決めて来た。