「空坊ちゃまに、お会いしたいそうです。」

私が言おうとした隙に、看護師さんが口を挟む。

「空に?」

お父様は、私を不思議そうに見ている。

そうだよね。

急に入院している孫に会いたいって、驚くと思う。

しかも、こんな事言っちゃあいけないけれど、医療事故で植物人間になっていると言うのに。


「五貴は、この事を知っているのか?」

私は、唇を噛み締めた。

それでお父様は、五貴さんが知らない事を分かったみたいだ。

「つむぎさん。今日は、タイミングが悪いみたいだ。また今度、五貴と一緒に……」

「待って下さい!」

私は、お父様の腕を掴んだ。

「どうしても、会いたいんです。いいえ、会わなきゃいけないと思うんです。」

「つむぎさん……」

「そうしなきゃ、私……前に進めない気がするんです。お願いです、お父様。」

私が真っすぐお父様を見た。

お父様も、真っすぐ私を見る。