「そんな……五貴様はそんな事、一切仰ってません。」

「気の毒ですね。でも、真実です。」

看護師さんは、顔を歪めて私の顔をジロジロ見ている。

そうだよね。

高橋美乃里とは、全然違うもの。


「どうした?林君。」

声のする方を見ると、年配のお医者さんが、一人やってきた。

「院長……」

私は、飛び上がる程驚いた。

「もしかして……」

「その通りです。五貴様の、お父様です。」

それを聞いて、私は腰まで体を折り曲げて、頭を下げた。

「初めまして。五貴さんの妻の、つむぎと申します。」

「ああ、あなたが五貴の。」

五貴さんのお父様は、笑顔で手を差し出してくれた。

「可愛いお嬢さんを貰ったものだ。五貴を宜しく頼むよ。」

「はい!」

私は嬉しさのあまり、両手でブンブンと握手してしまった。


「ところで、つむぎさんはどうしてここに?」

「あの……」