私が五貴さんとの生活を思い出していると、やけに視線を感じた。

想像通り、益城さんだ。

このまま視線を浴び続けるのも、いい気はしない。


「あの……」

「ムクククっ」

益城さんに笑われて、また口癖を言ってしまった事に気づいた。

すごく恥ずかしくて、顔が赤くなる。

口癖って、どうすれば治るんだろう。

「ごめんごめん、笑ったりして。なに?」

「……私の顔に、何かついてますか?」

「うん。」

「えっ!?」

私は慌てて、給湯室の奥にある鏡を見た。

でも、何もついていない。


「分からない?」

「えっ、いや……」

「取ってあげるよ。」

益城さんの長い指が伸びて来て、私の頬にそっと触れる。

「取れました?」

「……取れた。」

ほっとすると、まだ益城さんの指が、私の頬にある事に気づく。

「益城さん?」

「うそ。何もついてない。ただつむぎちゃんに、触りたかっただけ。」