アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

林さんは、私を真っすぐ見つめる。

「旦那様を、信じられないのですか?」

胸がズキッとした。

きっと信じているんだ。

ずっと側にいたから、浮気とか不倫とか、そんな事をするような人じゃないって。


でも、私には……

信じられる材料が、ない。


「何がそのように、奥様を追い詰めたのかは分かりませんが、直接旦那様に、お伺いしてみては?」

「はあ?浮気してるでしょって?」

驚き過ぎて、さっきまでの涙が引っ込んだ。

「夫婦の間では、よくある話ではないですか。さあ。」

さあって、いつの間に持って来たのか、私のスマートフォンを林さんは差し出した。

でも、手が震える。


もし電話して、出たのが内本さんだったら?

『ごめん。』とか言われて、謝られたら?


それこそ私、立ち直れない。


「駄目。電話できない。」

体を震わせながら、私は床にしゃがみ込んだ。

「では、失礼致します。」