アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

家に帰って来て、私は寝室に向かった。

クローゼットを開けると、数日前に引っ越したばかりの洋服やカバンが、所狭しと並んでいる。

「うっ……うっ……」

泣きながら、トランクに数日分の洋服を入れた。


「奥様、お帰りなさいませ。」

林さんの声に、手が止まる。

「どこかに、お出かけですか?」

こう言う事に気づくのは、早い。

いや、他の事もか。


「林さん、私もうダメ。」

「何がです?」

冷静に返されると、私も冷静になってくる。

「五貴さん、浮気してたの。」

「浮気?旦那様に限って、そのような事は、ありません。」

「じゃあ、不倫!」

私は立ち上がって、林さんの方を振り返った。

林さんは、全く驚いていない。

「不倫であったとしても、何かの間違いです。」

自信たっぷりに言う林さんに、だんだん腹が立ってきた。

「私は、この耳で聞いたのよ?」

「奥様。」