アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

そう言いながら、内本さんはどんどん、五貴さんにまとわりついていく。

「私達の関係は、水久保さんに言ってないんでしょ?」

私はドアをそのままにして、走り始めた。

遠くから、五貴さんが私を呼ぶ声がする。


でも、会いたくない。

トイレに駆け込んで、個室に閉じこもった。

「つむぎ!」

最上階のトイレは、あまり誰も来ないと知っているのか、五貴さんは堂々と女子トイレに入ってくる。

「出て来てくれ!つむぎ!」

個室のドアを、ドンドンと五貴さんが叩く。


「行って下さい!」

今は、五貴さんの顔なんて、見たくない。

「怜亜……内本君との事、見たんだろ?」

あの場面を思い出して、我慢していた涙が、ボロボロ出てくる。

「内本君とは……その……」


普通は、何もないんだ!でしょ。

私は怒りがこみあげてきた。

「出て行って下さい!」

「つむぎ!話を聞いてくれ!」

「聞きません!」