アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

次の日も、起きても家には私、一人きり。(現実には、林さんもこの家に住んでいるみたいだが。)

寝ぐせも付きっぱなし。

パジャマのまま、欠伸もし放題。


「おはようございます、奥様。」

「おはよう、林さ……」

ハッと目が覚めて、振り返る。

だが、そこには誰もいない。


気を集中させて、辺りを見回すと、気配すら感じない。

仕方ないか。

林さん、忍者だから。
(本当は、ただ使用人。)

諦めてテーブルにつくと、あんなに気配を感じられなかった林さんが、目の前で朝ご飯を並べてくれている。


「は、林さん!」

「はい?」

私の方を見た林さんは、五貴さんよりも、少し年上の人に見えた。

「あの……林さんって、本名は何なんですか?」

「私ですか?本名は、林です。」

なぜか、林さんと見つめ合う私。

「だって五貴さんが、面倒だから全員、林にしているって。」

「ああ、その事ですか。」