アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

「分かるよ。ワインが痛んでないかがね。」

「へえ……」

なんだか五貴さん、ソムリエみたい。

「そこまで知ってるなんて、意外ですね。」

「そうかな。」

五貴さんはボトルを持つと、グラスにワインを注いだ。

しかも、1~2cmしか注いでいない。


「これしか、注がないんですか?」

「最初はね。これで、テイスティングするんだよ。さあ、飲んでみて。」

「はい。」

ワインを飲む前に、息をゴクンと飲んだ。


人生初めての、ワイン。

五貴さんが、私の為に選んでくれたワイン。

しかも、高級なシャトー何とか。

また、手が震えてきた。


「大丈夫?手が震えてるよ?つむぎ。」

「だ、大丈夫……」

カタカタ震えながら、ワインを一口飲んで見た。

口の中で、葡萄の甘味と、渋味が混ざる。

そして、ほんのりとアルコールが鼻から抜ける。

「美味しい……」

「だろ?」

私達は、見つめ合いながら笑った。