アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

五貴さんは、数あるワインの中から、赤ワインを一本取り出した。

「これなら、初心者向けだ。」

ちらっと見ると、名前にシャトー何とかと、書いてある。

「そ、そ、そそそれって……」

「ん?何?」

「高いワインなのでは?」

「あっ、分かる?」

五貴さんは、これ見よがしに、ラベルを私に見せた。


「いや、ダメです!高いワインを飲んだ事もない私に!」

「そんな事ないよ、つむぎ。一番最初に飲むワインはね、いい物を選んだ方がいいんだよ。」

五貴さんは私の腕を掴むと、ダイニングの椅子に、私を座らせた。

「ワイングラスを、二つ。」

「はい。」

使用人兼料理人の人が(名前は知らない)、知らない間に、ワイングラスを持って立っている。


「ちょっと待ってね。今、開けるから。」

五貴さんは、ソムリエナイフでコルクを抜くと、その匂いを嗅ぎ始めた。

「あの、それで何か分かるんですか?」

ワインならまだしも、コルクの匂いを嗅ぐなんて。