「あの……」

「ん?」

何も気にしていないように、こちらを向く折橋さん。

「……手、放した方がいいですか?」

「ううん。」

折橋さんは、笑顔で手をぎゅっと握った。

「このままがいい。」

その優しそうな笑顔に見入ってしまって、私は失礼ながらも、パーティ会場に着くまで、ずっと折橋さんを見つめてしまった。


「着いたよ、つむぎさん。」

会場に着いても、私達は手を放す事なく、そのまま中へ。

「おう、五貴じゃないか。」

折橋さんの友人らしき人が、近づいてくる。

「あれ?お手てなんか繋いじゃって。さては新しい彼女か。」

「いや。」

折橋さんに否定されて、私は胸がズキッとした。


なんで、自分で断り続けているのに。


「僕の次の奥さん。」

「ほう!」

驚いている友人をすり抜けて、私達はシャンパンを取りに行った。

「いいんですか?あんな事言って。」