教室という場所は、水槽の中みたいだと俺は思う。狭い空間にぎゅうぎゅうに閉じ込められて、なんだか息苦しい。

俺はその水槽の中に落ちた光りもの。きらきらとした光に皆惹かれて集まって、だけどその正体は実はただの海に放り投げられたゴミで、表面だけ綺麗に繕ったニセモノだった。



だけど彼女は、池上美鈴は

その水槽の隅っこでたったひとり、
水面から顔を出して、静かに俺を見つめていた。