ココロの好きが溢れたら



そしてその夜。

同じベッドで眠った彼女が、俺に気ずかれまいと必死に声を殺して泣いていたのが分かった。

俺が思っていた以上に、彼女は傷ついていたようだ。


すぐに目の前で泣き始めるような今までの女達とは違った。


俺の前では決して泣かず、泣いていることさえ隠そうとする。


心の中で謝るのと同時に、これからはもう少しだけ優しくしようと決めた。







そして翌日。


俺が目覚めたとき、隣で眠っていた彼女はすでにいなかった。

軽く身体を伸ばしてから寝室を出ると、何か魚を焼いた香ばしい匂いが鼻を掠める。


階段を降りてふと窓の外を見ると、ウッドデッキで洗濯物を干している彼女がいた。


くるくると表情を変えながら洗濯物を干す彼女から何故か目が離せなくなって。


「お、おはようございます」


そう言われるまで我を失っていたことに驚いた。