「晴翔ー、話してんの?あたしも混ぜてよ」
俊太と準備運動をしていると、後方から聴き慣れた声がした。
その方向に視線を向けた先には、髪を一本にまとめて結んだ女子。
凛とした顔つきにスラッとした長い手足の彼女は、婚約者とは正反対の美人系だ。
「なんだ、沙織か」
「なんだとは何よ。失礼な」
俺の肩をペシっと軽く叩いた彼女は、俺と同じユース日本代表の強化指定選手だ。
クライミングを始めた時期が一緒で、小学生の頃からずっと一緒に練習してきた。
サバサバしてて男勝りな性格の沙織は、俺が唯一仲良くしている女だ。



