ココロの好きが溢れたら



いけない。

ポカンとしてる場合じゃない。

ハルが私に話しかけてくれてるんだから。



「ハル、トマト嫌いだから…」



そう答えると、ハルがまた驚いたように目を
一瞬だけ見開く。



「母さんに聞いたのか?」


「ううん。送ってもらってた写真で、トマトが嫌いなんだなぁって」


だって、トマト食べてる時のハルの顔すごいんだもん。

本当に嫌そうに眉を寄せて食べるから。



「今日の夕飯はカレーにしようかな。練習がお休みなら、好きな物ゆっくり食べられるもんね」



カレーを大きい口開けて食べてる写真があったよ。

一口がすごく大きいの。


好物だし練習終わりでお腹が空いてたっていうのもあるんだろうけど、食べる時間がいつも遅いからっていうのもあるはずだから。


あー、思い出したらその写真が見たくなってきたなぁ。


って、あれ?



「ハル?どうしたの?」



見れば、なにかを考え込むようにして下を向くハルがいて。


トマト勝手に抜いたの、迷惑だったかな…。

いつも頑張って食べてたもんね…。


そう思っていたけれど。


「いや、なんでもねぇよ」


そう言ってまたご飯を口に運ぶ様子を見て、私は首を傾げたのだった。