ココロの好きが溢れたら



確かに、写真の中の彼は隠し撮りを除いてほとんど不機嫌そうな顔をしていた。


笑っているのは幼い頃の写真だけで、成長するにつれて彼の表情はどんどん無表情になっていく。


カメラ目線のものもないから、きっと写真が苦手でクールな人なんだろうな、と思っていた。


だけど



「嫌われてるとは思ってなかったなぁ…」



親が心配するだろうからとずっと堪えていた涙が、じわりと込み上げてくる。


私のように、ハルも私を好きでいてくれてるだろうなんて、そんな都合の良いことは思ってなかった。


ただ、受け入れてはくれるだろうと。

これから少しずつ歩み寄ってくれるだろうと。


その考えが甘かったんだと、思い知らされたんだ。