ココロの好きが溢れたら

side 晴翔



「待ってたよ、晴翔」

「…おう」


昼休みの屋上。

扉を開けると、沙織が柵に寄りかかりながら俺を待っていた。


陽毬とちゃんと付き合いだしてから、何度も沙織と話そうとしたけれど、上手く躱されてきて話せず終いになっていた。


それが今日の朝。
沙織の方から昼休みに待っていると呼び出されたんだ。



「沙織…」

「待って。あたしから話をさせて欲しい」


俺の声を遮った沙織は、俺に向かって頭を下げる。


「まず、今まで逃げてごめん。晴翔と話をするのが怖かったの。それと、あの噂のことも。

最低なことをしたと思ってる。ごめんなさい」



そう言ったきり、なかなか頭をあげようとしない沙織に、頭を上げて欲しいと声をかけた。


「ずりぃな。先に謝られちゃ、もう俺が言うことないんだけど」


「あはは、ごめん。

……もう気づいてると思うけど、あたし晴翔の事が好きだったの。ずっと…ずっと前から」


「沙織、」



俺は…。



「大丈夫。分かってるから。でも、もう大丈夫。陽毬のおかげっ」



陽毬?


どうしてここで陽毬の名前が出てくるのか分からなかった。

でも、大丈夫だと言った沙織の顔は、本当に晴れ晴れとした表情で。

久しぶりに沙織が笑った顔を見れたことにホッとする。