ココロの好きが溢れたら



晋太郎くん、頑張ったなぁ。
入学式の時なんか『去れ』って言われてたもんね。

後でこっそりおめでとうって言ってあげよう。



「陽毬は?順調なの?」


「あ、うん。へへっ……」


ちょっとハルが甘すぎて戸惑うこともあるけど、ドキドキするのと恥ずかしいってだけで全然嫌じゃなくて。


好きな人と両想いになれて、本当に嬉しいんだ。



「良かったね」

「うん。ありがとう」



それから授業を受けて、あっという間に放課後。

今日ハルは部活がお休みらしく、クラスメイトと久しぶりに遊びに行くんだって。


夕飯までには帰るらしく、ドリアが食べたいってリクエストが来てた。


ハルはミートドリアが好きだから、それとペッパーでこんがり焼いたベーコンを乗せて、レモンを搾って食べるサラダを作ろう。



食材はあれと、あれ……なんて考えて歩いていたら、前方に人影が見えた。


彼女は立ち止まって私を待っていた。

なぜ待っている相手が私だと分かったのか。


それは彼女がハルの大切な女の子で、私が向き合わなければならないもう1人の相手だったから。



「沙織ちゃん…」


「ちょっといい?」


「うん」



沙織ちゃんの後を歩いて着いたのは、滑り台とブランコしかない小さな公園。

人は誰もいなかった。


シン…とした静寂が覆う中、沙織ちゃんが私に告げる。


「晴翔と別れて」


淡々と、それでも強い意志がこもった声。

目は私を真っ直ぐ捉え揺るがない。

引くつもりはない、と瞳がそう言っている。



「分かるでしょ?私と晴翔はずっと一緒にいたの。切っても切れない深い関係なの。

あなたがいなければ、あたしは絶対に晴翔と結ばれてたっ!」


沙織ちゃんの声が大きくなっていく。