ココロの好きが溢れたら



幸せ、なんだけどね?


「陽毬、いい加減こっち来い」

「無理無理っ!!絶対無理!!」



ハルに抱きしめられて寝るとか無理!!

ドキドキして寝れないよ!!



「ハル、なんていうか…変!!そんな甘い人じゃなかった!!」


「は?好きな奴と付き合ったら変わるに決まってんだろ」



あ、いや。

う、嬉しいよ!?

たまらなく嬉しいんだけど……っ!!


「来ないならもう抱きしめてやんない」

「なっ!?」


い、イヤだ!!

それはイヤだよっ!


「卑怯だよっ」

「じゃあ、こっち来いよ」


意地悪。

ハルが意地悪だっ。


「10、9、8……」


ちょっ…!!


「待ってっ、行くから待って…っ」


「早く」



ベッドの上で横に寝転ぶハルの側に近寄ると、手首をクイッと引っ張られて、私の体はあっという間にハルの腕の中に。


抱きしめられて、ドキドキし過ぎて心臓が痛い。


「ハル…あ、暑くないの?」

「クーラー効いてるから大丈夫だろ」


そ、そうですね…。

ハルが暑くなくても、私は大丈夫じゃないよ…。


「本当は陽毬が自分から来てくれるようになるのが1番いいんだけど」


「えと……それは暫くお待ち下さいませ」


「ふはっ、なんだそれ」



「陽毬」と名前を呼ばれて顔を上げると、ちゅっ…と触れるだけのキスをされる。


「う~~…っ」


ハルが甘い…っ。

甘すぎるよっ。


「顔真っ赤。可愛い」


「やめてっ、もう寝て下さいっ」



これ以上耐えられないっ。



「はいはい。おやすみ」


「おやすみなさい、ハル」



背中合わせで寝た初日の夜。

埋まることは無いのだろうと思っていた距離が、こんなにも近くになった。

あの時感じた寒さや寂しさはもうない。


ハルの温かな温もりを感じながら目を閉じると、何故だか涙が滲んだ。