ココロの好きが溢れたら


舞子先輩の言葉の意味を考えているうちに3年生のリレーが終わっていて、気づけばアンカーで3人抜きした白幡先輩が男子達に胴上げされてた。

優勝は最後のリレーで逆転した青組。閉会式も終わり、運動部は後片付けを任された。


「晴翔〜、やったな!優勝!」

「おう」


俊太は疲れ知らずなのか、相変わらず元気に後片付けをしている。

割れた水風船をちまちまと拾っていると、隣で拾っていた俊太が唐突に言った。


「そういや、陽毬ちゃん大丈夫だったのか?」

「あ?陽毬なら先に帰ったけど」

「そうじゃなくてさ〜」


俊太は「こいつマジか」的な目で呆れたように俺を見る。

なんだよ?


「お前、借り物競走で沙織と走った時言ったじゃん。ずっと一緒にいたいってお題の質問されて、俺も思ってますーって」


…それが何か問題でもあるのか?

だって幼馴染ならそう思うだろ。


意味が分からず首を傾げると、俊太は盛大に溜息を吐いた。


「ぬあああああっ!!ここまで鈍いとは思わなかった!!陽毬ちゃんが可哀想!超可哀想!!」


「こんな男俺なら嫌だーっ」なんて失礼なことまで叫んだ俊太は、暫くして冷静になったのか俺にひとつずつ確認するように話し出す。


「晴翔は沙織をどう思ってんの?」

「大事な幼馴染」


お前もな、とは言わない。


「そこに恋愛感情は?」

「あるわけないだろ」


沙織はどちらかと言えば男友達の感覚に近い。

サバサバしてるし、思ったことは全部口に出すから話しやすいんだ。