ココロの好きが溢れたら



「陽毬っ」


2年生のリレーが始まった直後。

名前を呼ばれて振り返ったらハルがいてびっくり。


「え、ハル?いいの?抜け出してきて…」

「あぁ。後は終わるの待つだけだしな」


それで、私のところに来てくれたんだ。

嬉しいなぁ。

ハルが来てくれた。

それだけのことなのに、じわりと涙が滲むのはどうしてだろう。

今日はちょっと涙腺が壊れちゃったのかもしれない。


「ハルすごかった!カッコよかった!」

「どーも」


そんな素っ気ない返事でさえも好きだなと思ってしまう私は、きっと病気なのだろう。


周りは凄く騒がしいのに、何故か私とハルの周りだけが音が消えた別の空間にいるみたいに感じた。


今なら、言えるかもしれない。


「…ハル」

「ん?」


ハル、私ね…


「ハルが、好き」


だから。


「家で待ってる、ね」


話をしよう。


それだけ言って、私はひとり会場を去った。