ココロの好きが溢れたら


「いけー!走れーっ」

「抜かせー!」

『さぁ、各チーム大混戦!1位は誰だー!?』


午後になって、体育祭は更に大盛り上がり。
2年生男子のコスプレリレーがあったり、2年生女子のガチンコ水風船当てがあったりと、とても楽しかった。

ただ、3年生男女混合競技『お姫様抱っこリレー』で白幡先輩が女子生徒をお姫様抱っこした時、舞子さんが「そんなのやるって聞いてない!」とお怒りになってしまって。宥めるのが大変だった。


競技が終わったあとにすぐ駆け寄ってきた白幡先輩のハグによって機嫌を直した舞子さんは、今は最後のリレーまで出番がないという白幡先輩にピッタリとくっ付いて離れない。

どうやら白幡先輩にお姫様抱っこしてもらっていた女子生徒がチラチラと白幡先輩のことを見ていたらしく、牽制の意味も込めてとのこと。

周りの視線が気になるけど…白幡先輩も嬉しそうだから、まぁいいか。


『続いての競技は、1年生女子による借り物競走〜!』


まぁ、借り物競走は定番だよね。


「誰かー!赤い眼鏡かけてる人いませんかー!?」


うんうん、眼鏡の人を借りるのはあるあるだね。


「ぎゃー!何これ!気になってる男子ってなに!?」


わぁ…。

すっごい気まずいやつじゃん、それ。


「二郎くんのハチマキってなに!?てか誰!」


あははっ、二郎くん居たら助けてあげてー!


変な借り物競走にあちこちから笑いが溢れる。


そんな中、あの子の出番になった。

なぜだか私の勘が悪い予感を告げる。


ピストルの音に合わせてスタートを切った彼女は、1番手前のカードを引いて一瞬考えた後、一目散に走り出す。


その先にいるのは


「晴翔、来てっ」


私の大好きな人。
2人は歓声の中、手を繋いでゴールへ向かう。

『ゴール!さぁ、お題は…ずっと一緒にいたい人でした!』


待って。

嫌だ。


『澤北くん、羨ましいなぁ!こんな美少女にずっと一緒にいたいって言われて〜』


やめて。


『で、澤北くんはどうなの?』


これ以上は


『あー…俺も同じです』


聞きたくない。



「陽毬ちゃんっ!!」


その場に居たくなくて、どうしても耐えられなくて私は逃げた。

さっきまで頑張るなんて言っていたのに、そんな勇気なんてもう欠片もなくて。


溢れてくる涙を拭いもせず走る。


「待って、陽毬ちゃん!」


校門を少し出たところで腕を掴まれて足を止める。