「男はそんな彼女に惹かれていった。けれど、一度告白を断った男は、なかなか彼女に気持ちを伝えられずにいた。……彼女はずっと側にいてくれたけど、告白されて以来一度も彼女から「好き」だと言われたことがなかったからだ」
…っ！
これって、先輩の…。
「気づいたか？そう、俺の話だ。俺は舞子に気持ちを伝えられずにいた。一度告白を断ってしまった手前、気まずさもあったんだと思う。あとは、舞子がもう俺を好きじゃなかったらどうしよう…ってな」
俺と同じだ。
陽毬が俺に気持ちを向けてくれてるのは分かってるのに、それでも言葉で言われないから不安になる。
俺の勘違いじゃないのか。
もう陽毬は俺が好きではないのではないか。
俺が好かれていると思いたいから、陽毬の態度が俺に好意を持っているようにみえるのではないか。
そんな事を考えてしまう。
