ココロの好きが溢れたら

side 晴翔


「で、晴翔は陽毬ちゃんとどうなんだ?」


唐突に前振りもなく先輩が聞いてきたのは、身体を洗い終えて湯船に浸かった直後のことだ。


「どう、とは?」

「上手くいってんの?ってことだよ」


先輩は俺と陽毬の関係を知っている数少ないうちの1人で、たまにこうして近況を聞いてくる。

いつもは軽いノリで「今どうなってんだよ〜」なんて聞いてくるのだが、どうもいつもの雰囲気と違う先輩に少し戸惑った。


どう、か…。


「あー…正直に言うと、好きになりかけてるってとこですかね」

「へぇ」



自分の中で、陽毬の存在が大きくなっていくのが分かる。

ふとした時に陽毬に触れたくなったり、誰かに渡したくねぇなって思うのは、そういうことなのだろう。