そっか。
そうだよね。
好きっていう気持ちまで押さえつけちゃったら、相手にも伝わらない。
気持ちを伝えることは迷惑かなって思ってたけど…。
それだと、このままハルと私の関係は変わらないままだ。
それに、例えばこの先、ハルを好きだと言う人が現れたとして。ハルがその人を選んでしまった時。
好きだと伝えてもいない私に、悲しむ権利はあるのだろうか。
その時になって好きだと伝えたところで、何を今更と思うんじゃないだろうか。
あの時伝えていれば。
あの時もう少し頑張っていたら。
なんて後悔するのは嫌だ。
「ふふ。私が言いたいこと、分かったみたいね」
「はい。舞子さん、ありがとうございます」
「これくらい大したことないわ。頑張ってね」
この時、お風呂から上がった舞子さんが「まぁ、もう十分晴翔くんには伝わってると思うけどね」なんてイタズラを仕掛けた子供のように笑って呟いていたことに、私は全く気が付かなかった。



