ココロの好きが溢れたら



「陽毬ちゃん、先輩から一言アドバイスよ」


え?


「そばにいるのに片想いでいることはとても辛いことだと思うわ。でも、引いたらダメよ。

例え自分より彼のことを理解している人が現れても。彼を好きだと言う人がいても、一歩も引いちゃダメ。その相手に気持ちで負けちゃダメよ」


気持ちで、負けない…?


「身を引いても良いのは、ちゃんと好きな人の気持ちを聞いて、もう自分には振り向いてくれないと確信した時だけ。

晴翔くんは今、陽毬ちゃんにしっかり向き合おうとしてくれてるんでしょう?」


「は、い」


「じゃあ、陽毬ちゃんはそのまま晴翔くんを真っ直ぐ見て気持ちを伝えれば良いわ。なんだか陽毬ちゃん、晴翔くんに遠慮してるように見えるから」


え…。

どうして、分かったんだろう。

私が遠慮して、気持ちを伝えないようにしてること…。


「わ、私…自分の気持ちを押し付けたらハルに迷惑かなって…」


「うん。でも、気持ちを伝えることと押し付けることは違うわ。気持ちを伝えるというのは、純粋な好きという感情を言葉や態度で相手に伝えること。

押し付けというのは、その好きと言う感情に見返りを求める人がすることだと思うの」


「私がここまでしてるんだから、あなたもそうしてくれるでしょ?っていう心の声がダダ漏れてる行動をするのが押し付けよ」と舞子さんは言った。