ココロの好きが溢れたら



「舞子さんは白幡先輩とどうやって出会ったんですか?」

「私達は2つ隣の街で会ったの。私は1人で遊びに来てて、彼は試合のために来てたのね」


白幡先輩が会場までの道が分からなくて迷っていたところに、たまたま通りかかった舞子さんが教えてあげたのだという。


「そしたらね、その数分後にまた道に迷ってる丈瑠に会って。2人して笑ったわ」


その時のことを思い出しているのか、舞子さんはクスクスと楽しそうに笑う。


「仕方ないから、会場まで連れて行ってあげたの。
放っておいたらまた迷子になっちゃうでしょう?

それで連れて行ったついでに、少しだけ大会を見ていこうと思って観客席で見てたらね、びっくりしちゃった。

さっきまで道に迷ってオロオロしてた人が、クライミングをやると力強くてカッコいいんだもの」


その姿を見て白幡先輩を好きになった舞子さんは、試合後に告白をしたらしい。

舞子さんは「私、好きになったら待ってられないのよ」と言って笑った。


一度は断られたものの、どこか子供のようで抜けてる先輩を放っておけなくて構い続けているうちに、白幡先輩から好きになったって告白されたんだって。


「嬉しかったわ。好きな人と両想いになれるって、本当に幸せなことなんだって思ったの。もちろん、今も幸せよ」


そう言った舞子さん顔は本当に幸せそうで、白幡先輩のことが大好きなんだって伝わってくる。