ココロの好きが溢れたら



目の前で交わされる会話に流されるまま、私は後をついていくことしか出来ない。

混乱している私を置いて、どんどん手続きが進んで行ってしまう。


「ハル、ハル…っ!私…っ」


こんな高いネックレス、申し訳なくて買えないよ。

そう言おうとした私の言葉を遮るようにハルが言った。


「いらないなんて言うなよ?てか、いらないって言われても買うけどな」


それからハルは「これはいつも家事をしてくれてる私への感謝でもある」のだと続けた。


感謝なんて…。

それは、私のセリフなのに。


ハルはこんな私と一緒にいてくれる。

親が決めた婚約者というだけの私と一緒にいてくれる。

感謝したいのは、私の方なのに。


「ほら、何を刻印するか決めるぞ」


こんなに幸せでいいのだろうか。

罰が当たりそうで怖い。


でもそれ以上に嬉しくて、嬉しくて……滲み出る涙を袖で拭った。