大河が緊張したように訊ねる。藍はあごに手を当てて考えた。

「疲れて居眠りをしてしまったか、別の原因ということになるわ。例えば病気の発作とか」

「でも、心臓発作で亡くなったなら解剖をした時点でわかるよね?」

朝子が言う。高野匠の心臓などに異常はなかった。脳梗塞なども視野に入れて調べてみたが、異常は見つかっていない。

「話はアルコールの検査結果が出てからです。さあ、みなさん仕事をしてください!」

正人が輪に入ってきて、話を強制的に終わらせる。朝子と大河はブツブツ言いながら仕事を始めた。藍も今するべき仕事に取り掛かる。

それでも、藍の頭からは高野匠のことが離れない。アルコール検査の結果を知りたくてたまらなかった。

そして、アルコール検査の結果が届く。高野匠の体内からは…………アルコールは検出されなかった。

検査結果を如月刑事に藍は報告し、すぐに研究所に如月刑事と原刑事がやって来た。

「アルコールが検出されなかったということは、居眠りをして溺れてしまったんですかね?」