そう言いながらも、聖と朝子の目は正人に向けられる。

正人はお財布の中身がなくなることに、絶望から顔を青くした。



事件が起きた住宅街に行くと、黄色のテープが張られ、パトカーがすでに何台か止まっている。多くの野次馬が集まっていた。

「監察医の霧島先生だ。通してくれ」

如月刑事とともに、藍と大河は水死体のある家の中へと入る。かなり大きな白い壁の家だ。

「遺体は一階の浴槽にあります。第一発見者はこの家に住む山下翠(やましたみどり)さんです。この家はシェアハウスで、亡くなった方はこの家の住人だそうです」

先に現場に来ていた刑事が如月刑事に説明する。そして、藍は浴室の床に置かれた遺体を見た。

三十代前半と思われる男性は、お腹の辺りが青くなっている。水死体の特徴だ。

「なかなかお風呂から出てこないので様子を見に行ったところ、すでに亡くなっていたそうです……」

刑事の説明を聞き、藍は遺体を見つめる。そして、隣で手を合わせている大河を見つめた。