国山クンは状況が読み取れたのか、目をぱちくりしている。

「おはよう、ヒロさん。」
「お、おは、よう、桜木さん・・・そうだ、桜木さん雇ったんだった・・・今何時?」
「7時10分。ご飯出来てるから、支度できたらうちに来な。」
「ご、はん?」
「西辻さんはご自宅からだったから、おにぎりかサンドイッチ作ってくれてたんでしょ?うち、隣なんだから一緒に食べればいいと思って。てかもう二人分用意しちゃったし食えよ。」
「あり、がとう??」

準備できたらおいで、と声をかけ部屋を出る。
二度寝したら分かってんだろうな、と圧をかけるのも忘れない。起きる、とだけ返事がきた。


私は自分の家へ戻り、味噌汁を温め直す。
同時に卵を2つフライパンへ落とし、ペッパーミルからあらびきの塩コショウを振る。一気に強火にして蓋をする。すぐ火を止めてそのまま軽く蒸す。これで外周りはカリカリ、表面と黄身は半熟の目玉焼きの完成だ。個人的にはそのままフライパンに醤油を軽く垂らして、焦がし醤油風味にするのも大好物だけど、国山クンの好みを聞いていないからな。ソース派とかだったら戦争が起きてしまう。

そうこうしているうちに、ピンポーン、と控えめにインターホンが鳴った。開いてるよーと玄関へ声をかけた。
これまた控えめなお邪魔します、が聞こえて入ってきた。昨日は言ってなかったろう、あんた・・・

テーブルに料理を乗せる。国山クンは、その前で料理を凝視していた。

「美味しそう・・・」
「美味しいもなにも、簡単なモノだからなぁ。嫌いなモノとかあったら言ってね。あ、目玉焼き半熟で大丈夫?」
「半熟が好きだ。食って、いいのか?」
「そのために準備したんだよ。ほら、座った座った。」

椅子に座ったのを見て、味噌汁とお茶の用意をする。
二人でいただきます、と言い、ようやく朝ごはんにたどり着いた。