国山邸前。一応インターホンを押す。
まあ、予想してたけど反応ないわ。

気が進まないなーと思いながら、貰った鍵を使ってドアを開ける。

私の家より勿論広かった。
1階は私の家の間取りにプラス和室が付いた感じだ。
そう言えば寝室の場所を聞くの忘れてた。
まぁいいや、適当に開けよ。

1階にはいなかった。2階へ上がる。うわ、3階もあるのか・・・
2階のいくつかある部屋の中に、ドアが閉まってる部屋が一つだけあった。おそらくここだろう。

ノックをする。

「ヒロさん。桜木です。朝をお知らせに来ました」

なんか緊張して敬語で喋ってしまった。
ドアの向こうでモゾモゾ動いた音がする。
しばらくして音が止まる。
さっきより強めにノックする。

「ヒロさん、起きて。ご飯出来てるよ。学校でしょ?」

・・・音はしない。
ドアを叩く。

「ヒロさん!起きろよ!入るぞ!」

無言。
もう入ってやれ!ゆすれば起きるだろ!

ガチャりとドアをあける。
・・・部屋のど真ん中に、キングサイズの天蓋付きベッドがあった。

ベッド中央がモゾりと動いた。
私は思いっきり掛け布団をバッとめくる。
そして戻した。

チラ見した国山クンは、スエットがだいぶ大きいらしく、めくれてお腹が見えていた。
高校生の腹チラ・・・ダメだ、罪悪感しかねぇ・・・

「むりねむい・・・」

戻された布団を抱き込まれてしまった。
ゔうん、今日も顔が良いですね!!

「いや起きてよ!起きろコラ!ほーらーおーきーてー!」
「うぅん・・・」

起きそうにない。
どうしよう。ほっぺたつねるか。
おお、眉間にシワが寄った。

「・・・いひゃい」
「痛くしてるんだよ。起きなさい。ご飯食べる時間無くなるよ?」
「・・・ごはん」
「そう。ご飯。私はお腹すいたの。早くしてくれない?セクハラするよ?」
「だ、めだぞ、さくらぎ、さん・・・桜木さん!?」
「はい。桜木さんですよ。」

目がパッと開いた。どうやら覚醒したらしい。
・・・と言うか、このやり取り、普通に考えたら、立場逆じゃない?
国山クンはヒロインなの?残念だがトースト咥えて走らせたりはしないぞ?