「桜木さんは、車の免許は持ってるのか?」
「勿論。商社マンは車乗れないと大変なのよ。車は会社のしか使った事ないけど。」
「よかった。じゃあこれも渡しとく」

そう言って渡されたのは、車のキーホルダーの着いた鍵。
もう分かったぞ。驚かないからな。

「俺のアコードの鍵だ。とは言っても、俺は車の運転はまだ出来ないから社用車扱いだな。俺の送迎以外にも使ってくれて構わないぞ。」
「アコード、だと・・・!?」
「俺には車の善し悪しはよく分からないけど、カッコイイ車だと思うぞ。車は地下駐車場だ。」
「へい。」
「(へい?)」

そりゃカッコイイだろうな!
贅沢し過ぎな気がしてきた。
絶対仕事以外には使えねぇわ・・・使うけど。

「あとは・・・なんかあったかな・・・」
「えぇと、自分で言うのもなんだけど、普通に車の鍵とかヒロさんのお家の鍵貰っていいの?普通に考えたら犯罪疑うでしょ?昨日の今日よ?」
「昨日、俺の犯罪を未然に防いだあんたが言うか?それに、心配はしてない。セキュリティ面も問題ないしな。」

そりゃそうか。

「問題ないならいいけど。えっと、明日から起こせばいいの?」
「ああ、頼むよ。・・・ほんと、寝起きだけはダメで。平日だけで構わないから。」
「了解っす。それじゃ、私荷解きするわ」
「ああ。何かあったら呼んでくれ。俺は課題を終わらせてくる。」
「お、おう。」

課題、とか言われると、途端に学生感出るなぁ。
なんだかんだ言っても、国山弘は高校生なのだ。私は秘書と言うなの家政婦とでも思っておこう。
家族の愛とやらが欲しくて捻くれた彼の。
弟が増えた様なもんだ!仕事だし面倒見てやるか!

・・・その前に荷解きしなきゃ。