「あ。それと、これを。」

デフォルメされた電気ネズミの進化系のストラップ。と、それに付いたもうひとつの、鍵。

「この鍵は?」
「・・・俺の家の鍵だ。」

何故。
まさか、西辻さんの代役、そこまでやるのか?

「今後、西辻さんにはカフェに専念して貰いたい。から、その・・・」
「あ〜・・・モーニングコールじゃダメなの?」
「試した事はある。ダメだった。」
「ドヤ顔やめろください。」

そっかー、ダメだったのかー。
それにしても、私の家の鍵のストラップの進化系を自分の鍵のストラップにするあたり、上下関係を誇示しているのか?
・・・考え過ぎか。

考察は程々に、私はこれから過ごす社宅に入る。
当たり前の様に国山クンが着いてきた。
もう私はいちいち突っ込むのを止めた。

1階は広いキッチンダイニングと小さめの部屋が1つ、クローク、トイレ。対人用とも言える間取りだ。
既に使い勝手の良さそうな、シンプルなデザインの机と椅子、照明器具や電化製品などが置かれていた。

2階には3部屋とお風呂、トイレ、クローク。
私の荷物は一部屋にまとめられていた。
・・・ひとつは寝室、ひとつは書斎、もうひとつはシアタールーム兼ゲストルームって感じにしたい。
1人にしては広すぎることを懸念してか、各部屋に小型のお掃除ロボが完備されていた。

「気に入ったか?」
「そりゃ勿論。まさか戸建てとは思ってなかったし色々充実し過ぎだとは思うけど。」
「そうか。よかった。」

いちいち喜ぶ姿だけは、年相応なんだよなぁ。