私の使う部屋まで、国山クンが案内してくれた。
そして私は昨日ぶりに言葉を失った。

エレベーターの行き先は・・・屋上。マンションの室内階ではなく屋上。
更にその屋上は、一般的な屋上とは明らかに違っていた。

「ヒロさん、気のせいかな?ここ私の使う部屋じゃあないね?」
「あってるぞ。最上階だ。」
「最上階って言うか、ほら、屋上じゃない?」
「あぁ。屋上だな。まあ間違ってない。」
「屋上に、家が2軒、建ってんすけど・・・」

そう、屋上に2軒家が建っていた。
ひとつは大きめ、もうひとつは小さめの家だ。
なんとその小さめの家に、引っ越し業者さんが私の荷物を運んでいた。

もう一度言おう。
私の荷物が。屋上の。小さめの一軒家に。運ばれている。

「はっは〜社宅が一軒家とかバチクソウケる〜」
「桜木さんは俺の秘書もして貰うから、近い方が良いと思って。」
「『近い方が良いと思って隣の一軒家空けといたよ』って??意味がわからん。もう国山クンの常識わからん。」
「おい、苗字で呼ぶなよ。」
「そのツッコミもわからん。」

もうこの孤独なスーパーツンデレ方向音痴系実業家高校生に常識・・・一般人の感覚を求めるのはやめよう・・・色々と型破り過ぎる。

「アパートから越してきたんじゃ、色々足りないと思って、テーブルとかテレビとか、最低限必要な家具は粗方揃えてあるはずだ。足りなかったら言ってくれ。」
「わぁーいありがとうございまぁーす」

やっぱりこの人おかしいって。