「アハハっ。面白いことを言うんですねっ」

私、小さい頃から色々な語学を習っていてよかったと思った
今もこうして、英語の喋れるキャバ嬢として陸の目の前に標的を連れ出すことができた

「……」

20人以上居る男達の間から、陸の姿を確認した

「…バカ。隠れろ…」

小声で、小声で、声よりも口の動きで隠れるように言った
小さく右手の人差し指を、車の駐車している場所に指した
陸はすぐに意味を理解したらしく、走って路地の中に消えていった

「?どうしたんだ?」

1人が、私の黙り込んだ顔を覗き込んできた
寄るな。気持ち悪りぃ…
そう言いかけたが、私は今、キャバクラで働く女を演じているんだと思い出した

そして、笑顔を作って首を振った

「いえ。何も!!さぁ、行きましょう?これから大切なお仕事があるとか…」
「ああ。そうだったな。急ごう」

するり。と私の前を歩く男の腕に自分の腕を絡めた

「駐車場までお送りします」


その大切なお仕事、成功させるわけにはいかない