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「はあ…」

部活の終わった帰り道、部室でウインドブレーカーに着替えて夜道を歩いた
右手には雪姫から手渡された盗聴器と小さなカメラを乗せて

「…」

ヴー ヴー ヴー

「!!」

授業の前にマナーモードにしたままだったケータイのバイブ音がした
取り出すと、慧からだった

「もしもしー?」
《今、どこに居る?》
「今ぁ?えっとね…駅の近く…コンビニの前歩いてるけど?」
《じゃあ、学校の方向いてくれるか?》
「え?うん…」

何だろうと思いながら、学校の方向に体を向けた
ちょうどコンビニがバックになった

《そこから、向かい側の住宅街あるだろ》
「うん。あるね」
《コンビニの向かいにあるデカい家、見えるよな?》
「うん」

そりゃ、コンビニを背中にして正面向いてるからね

《そこ。アジト》

「はッ!?」

うそ。つか、こんな普通の住宅街にマフィアのアジト!?
受話器に向かって叫んだ

「え、嘘!?ってか、マジで!?」
《部屋に入るためのパスワード、今から教えるから1回で覚えろよ》
「え、あ、うん…」

さあ、あたしのマフィアデビュー…




「えっ?ゴメン。もう1回言って?」

《…おい》
「いや、長すぎだし」
《覚えろ》
「あ、すんません」
《K Y A…》
「えちょ、えっ??」


なのかな??