「う…ん…?」

横を向くと、真っ直ぐな目でマフィアのボスだという男の人を見据えていた

「私は、爽樹が辛いならやめる」
「雪姫は…?」
「私は協力するつもりだった。でも爽樹を1人にするのは嫌だ」
「あたし…あたしは…」

やだ。どうしよう
自分から陸について行って迷うなんて、何て薄い覚悟だったんだろう…

「学校は大事だ。でも友達はもっと大事。学校が無くなっても、爽樹がしっかり生きていればいい」

さも当たり前みたいに言ってくれる、親友の言葉に胸が熱くなった

「うん……」

どうしよう

どうしよう

迷っていると、陸が気まずそうに声をかけてきた

「あ…爽樹…」
「っ」

少しだけ、肩が震えた

「ぇっと…」
「ア…あたしも…やる」
「でも、爽樹…」
「あたしも…やるよ…」
「…無理すんなよ。俺だって、絶対安全ってわけじゃねぇけど、爽樹が心配だし…」
「だ…大丈夫…」

「なら、私も」

雪姫が、凛とした声で男の人に言った

「彼女がやるなら、私も協力します。ただし、彼女を危険な目に遭わせないで下さい」
「うん。分かったよ。君達だって大切な生徒だからね。極力君達をサポートするようにするよ」

「…いいのか?」
「…うん」

うん…
いいよ。大丈夫
陸が心配だし
雪姫にだって…

「じゃあ、これで6人揃ったね。日本支部に案内するよ」