「陸」
「ん?ぉお、雪姫!珍しいなー雪姫から話かけるとか!」
放課後、部室に向かう陸を引きとめた
「ちょっと」
「ん?」
手招きをして、近くに寄った
そして、小さな声で陸に聞いた
「…陸、昨日ホストみたいな男に会わなかった?」
陸の目が見開いた。
やっぱり。陸もあの男に何か言われた。
「…雪姫も…か?」
「…家に帰って調べた」
気持ち悪くて、父親が警視総監だという特権を濫用して、父のパソコンを少しだけ調べた。
勿論セキュリティが厳重である程度の所までしか私の力では入り込めなかったけれど。
「あの男、まさかとは思ったけど、本物だった」
「マジかよ!?」
「それも、世界全国に支部を持つ裏社会じゃかなりの有名人」
「じゃ…正真正銘の…」
「そう。陸は何を言われた?」
「俺は…何か、俺達しか、救えないって…」
救えない?
ちゃんと話を聞いていればよかった。そして、何か危険があれば父に捜査を頼めるのに。
「それに…その人の敵…みたいなヤツも居た…」
「みたいな奴?」
「ああ…それで…ッ」
陸が拳をぎゅっと握った
「詳しく聞かせてくれる」
「あ…じゃあ、部活が終わってからじゃ…時間遅いよな…」
「大丈夫。電話して」
「分かった…じゃあ」


