「……」
自分のベッドに寝かせた爽樹の寝顔を見た
何か、普通に寝てる。大して苦しそうでもなく
床に座って、受け取ってしまった真剣を手に取った
漆黒の鞘。藤色の柄。細かい鶴の掘り込みの鍔
鞘から抜くと、シルバーに光る刃が見える
紛れも無く、本物の日本刀
「…しかも、超有名品だぞ、これ……」
1、2回、聞いたことのある日本刀
作者不明の、何の迷いも無い鋭い刃
これが――
「【鶴舞】――」
鶴舞が、俺の手元にある
どうして、こんな刀を持ってたんだ
それに、あの人は
俺の目の前で、簡単に人を殺した
思い出すと腹の下がぐるぐると気持悪くなった。
実際に自分の手で殺した訳じゃないのに、銃声と一緒に微かな火薬の匂いも思い出して気持悪くなった。
《――この学校を救えない》
あの言葉が、浮かんだ
「……何なんだ…」
分かんねぇよ
何で、俺なんだ
俺の他にも―春樹も、卓真も
何で、俺達なんだ
「…何なんだ…」
何だ
何で、爽樹が狙われた?
「何なんだよ……」
謎の名刀を抱え込んだ
かちゃ。と腕の中で刀が音を立てた
冷たい金属の感触
「…ん……?」
―爽樹の声がした。ような気がした
「…陸の…部屋…」
がた。と静かに刀を床に置いて背後のベッドを見た


