高校生マフィア

「フーッ フーッ フーッ」

まるで、猫が威嚇する様に、俺は男を睨みつけて、竹刀をグッと握った

男の右手には、力無く垂れ下がった爽樹の細い手首が握られていた
車から出てきたのは、意識の無い爽樹だった
死んだように、眠るように

男が、フッと笑った

「大丈夫だって。死んでねぇよ。ただ、ちょっと寝てるだけ」
「何しやがった…何しやがった!!」

俺が吼えても、男は怪しい笑みを消さなかった

「何、そんな大切なんだ?この子」
「…うるせぇ」
「確かに、可愛いもんなぁ。何?彼女?」
「…うるせぇ」
「んな怒んなよ。大丈夫だって。この子の美顔には傷1つ付いてねぇし」

「うるせぇッ!!!!」

竹刀から片手を離し、男の手から爽樹の手を奪い取った
片腕で爽樹を抱えて、竹刀を男に振り下ろそうとした

「うるせぇのは、陸君だよ」

「――…」

視界が真っ白になった
額に、嫌な威圧感
鉄、ひんやりとした冷たさ

「せーっかく俺が優しく勧誘してんのに、そんな騒いだら近所迷惑でしょーが」

男が、ニヤリと笑った





銃声が――1発