「……」

振り返ると、ホストみたいな男が立っていた
昨日の【マフィア的な】の人じゃない
でも、同じようなスーツを着て、黒い高級車にもたれていた

俺が不審そうに男を見ていると、男の口の端が少しだけ上がった

「そんな怖い顔すんなよ。俺は昨日の男と同じような人だから安心してよ」
「…ますます不安なんですけど」

それって、怖い人って事じゃねえかよ。
俺、マジで犯罪集団に入るつもり無ぇし

「俺、別にマフィアとかヤクザになりたくないんで」
「…別に、犯罪を犯せって言ってんじゃねぇよ?ただ俺に協力して欲しいだけ」
「協力するつもり無いんスど」

それだけ言い残して、帰ろうとした
進行方向を向いた瞬間、背後の車のドアが開いた

「陸君」

「…何すか」

後ろを向かずに答えた

「ちょっと、俺の方見てみ」

「……?」

ゆっくり、振り返ってみた







その瞬間、俺は反射的に地面を蹴った
肩にかついだ竹刀袋から竹刀を抜き出した

竹刀の先を、男の首に突き付けた


「てめぇ、爽樹に何しやがった!!!!」