「いやっ、マジだって!!」
「汚い」
「あ、ごめん」

卓真が叫ぶのと同時に周囲に細かくなった玉子焼きが散った。
俺は読みかけの本に目を落として春樹と陸の3人で卓真の話を聞いていた。

「マジで?何でホスト?」

陸が牛乳パックの口を開きながら笑いを含んだ声で聞いた

「や、俺も知らない!何か、いかにもホストなお兄さんな訳!!」
「はぁー?何でー?何、卓真スカウトされた?」

春樹が漫画のページをめくった。

「いやいや。俺ホスト顔じゃねぇし」

充分ホストだ。と思ったが口には出さなかった。
陸が牛乳を一口飲んだ。

「じゃあ何でだよ?…あ、この牛乳、給食の味する」
「知らね…ってか給食の味って何だよ」
「つーか、何言われたワケ?…あははは!!!!今週のおもしれえー!!」
「お、マジ?後で貸してよ。いやー…何か謎な発言を」
「で、結局何言われたんだよ」

ぱら。とページをめくった。

「何かー…「君達にしか」ナントカ…みたいな」
「………」

「ん?慧、どーしちゃった?」

「いや……」

【ホスト】と聞いた瞬間に、もしやと思ったが。
今朝会った男と同じ人間だ。