「……し…」

カタカタと体が震えた
俺のただ1つの荷物
突然俺の前に現れた謎の名刀が、俺の背中でずっしりと重く感じた

「…し、なねぇよ」

上手く笑えてねぇけど、多分
精一杯爽樹に笑いかけた

「はは……あのな…爽樹?」
「…ん……」
「俺、死なねぇから」

震える体を、拳を握って奮(ふる)い立たせた
強く握りすぎて、爪で手のひらを切っちまうくらい強く握った
手をゆっくり開くと、小さく血がにじんでいた

「……つかっ」

必死になって声を出したら、予想以上にデカい声が出た
俺と爽樹しか居ない廊下に、声が響いた

「俺ヘタレなんだからそーゆーこと言うなよなー。チビったらどーすんだよっ(笑」
「冗談じゃなくてっ…!」
「分かってるって!!」

バンバンと爽樹の肩を叩いた

「ぜってー大丈夫だって!!爽樹も春樹も雪姫も帰ってこれたんだから俺だって大丈夫だろ!!こう見えても俺、日本1ケンカ強えー高校生だぜ?」

笑って腕を曲げてチカラコブを見せてやった

「ダテに17年間、親父に空手やら弓道やら叩き込まれたワケじゃねぇよ?」
「うん。分かってるよ。でも…」
「つーか、俺が爽樹のこと心配したら、爽樹だって「大丈夫」っつって帰ってきたじゃねーかっ。だったら俺も大丈夫だろ!!」

もう最後の方は怒鳴ってるみたいになって、くるっと背を向けてドアを開けた

「陸っ、あたしっ…」


「心配すんなって!」

笑って、ばたんとドアを閉めた