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《ピッ》

機械音がすると、私と春樹の目の前のコンクリートの壁が左右に開いた

「わぉ」
「春樹、軽はずみな行動は厳禁(げんきん)。まずちゃんと確認して…」
「わーってるって」

そう言いながらも、私の言葉を遮って、靴を鳴らしてコツコツと中に入っていった

「ちょっと…!!」

私もハイヒールを鳴らしながら、ポケットに手を突っ込んで軽く歩く春樹を追いかけた

「だいじょーぶだって。こんな場所で軽はずみな行動するわけねーじゃん?」
「今まさに軽はずみな行動を…!!」
「シッ」
「ッ?」

ぐいっとジャケットの襟を掴まれて壁に押し付けられた
息をひそめて後ろを睨む私と、私に覆いかぶさるようにして同じように背後をうかがう春樹
何だよ…普段そんな顔しないくせに
一々調子狂わせるんだから

足音が遠くなると、ようやく手を離された

「な?俺もやるときはやるって!!」
「声が大きいよ馬鹿」
「てっ」

春樹の背中をバシッと叩いた