「大丈夫ですよ。私は強いですから。」

「それもそうだな。もう掃除終わっていいぞ。」

「マジっ!?」

「そのかわり、これ、登山家に届けてな。じゃ、おつかれ〜」

「ッチ。最後までパシリかよ。
 ま、いっかどうせの晩ご飯龍ちゃん家だし」

私の両親は母が小学校の父が中学校の教師だ。

そのため、夜ご飯の時間に帰ってくることは極めて稀で、私は学校からまっすぐ登山家に帰り、登山一家と夜の食卓を囲み、龍ちゃんと諒の部屋から外履を持って自分の部屋のベランダに帰宅するって言うのがいつものルート。

私の部屋は二階だし、窓には鍵をかけていないので侵入し放題だ。

一応、玄関の鍵も持ち歩いてはいるが、ほとんど使ったことはない。

外履を玄関に置くだけで、父も母も鍵を持ち歩いているので私が鍵を開ける必要はない。

「ただいま〜」

登山家ももはや我が家である。