花言葉が人をつなぐ

「選択をするのは、トーリスさんご自身です。私にはどうすることもできません。ですが……」

ヴァイオレットはトーリスを優しく見つめる。

「トーリスさんの選択に、誰も「間違っている」とは言えません。トーリスさんの選択に、間違いも正解もないのです」

しばらくトーリスは泣き続け、ヴァイオレットに「娘にあってほしい」と頼まれる。

「アイリスに、「家に帰ろう」と伝えたいんです」

ヴァイオレットは植物図鑑をめくる。もう花は決まっていた。

「この花はいかがでしょうか?デイジーの花言葉は、平和、そして「希望」です」

「希望……。私の、希望……」

トーリスはまた涙を流す。デイジーの花束を花屋で買い、二人は病院へと向かった。



個室のベッドの上で、痩せ細ったアイリスは管につながれていた。その様子はとても痛々しい。

「アイリス、お客さんだよ」

トーリスがそう言うと、アイリスはぼんやりとした目でヴァイオレットを見つめる。ヴァイオレットは頭を下げた。