水道の水を飲む。たくさん。
 横になって、眠った。

 …暑い。暑くて起きた。
 なぜか自分は裸になっていた。寝ぼけて、服を脱いだんだろうか?暑くて。

「ふうん」
 テキトーな相づちが返ってきた。
 騒がしいけど、安く時間の潰せる、チェーンのカフェ。
「で、どうするの?」
 彼女はストローでオレンジジュースをすすった。
「…やめる」
「えー、やめちゃうの?会社」
 …
「どーせ、あと三、四カ月で潰れるんだ。ウチの会社。理由は言えないけどね」
「ホントに?」
「うん」
「私は…どうしたらいいんだろう」
「うーん…」
 僕は立ち上がった。
「行っちゃうの?」
「あるんだ。色々ね。用事が。友達か家族を頼るしかないかな?お金のこと、言い出したら、潰れるのを知ってるってバレちゃうから、とにかく、次の働き先をこっそり探すことだね」
「…うん」
「じゃあ、悪いけど」
「ありがと」
「え?」
「貴重な情報、教えてくれて」
「いや、君には仕事で世話にもなったしね」
「今度、食事か何か、おごらせて」
「ああ、じゃあ」
 僕は店を出た。

 太陽が強い光を放っている。暑い。

 こんな厚着、してる場合じゃない。僕は足を早めた。