この日を境に実花さんと会う日は増え、彼女は会えば毎日だって、私のことを好きだと言ってくれる。私への愛を無邪気に表現してみせてくれる。

 とても可愛らしい彼女は、いつの間にか私の心の中に住んでいた。


『カナタから離れて』

『大好きなの、その花が』


 彼女が大好きだというその花は、『オステオスペルマム』、それとも、『ディモルフォセカ』、同じキク科で近縁のその花を区別することはとても難しい。

 それとも、違う花なのか……

 
 甘い罠に落ちてゆく私----どうか、誰か助けてください。


 何も要らないから

 全てあげるから

 私に、あなたの愛をください。


 『女友達と過ごす時間』・『無くても何の支障もなかった時間』----それは、貴方がいつも私の傍に居てくれたから。

 ----

 あの日、彼方の部屋を飛び出してから、今日まで一度も彼方とは会っていない。

 彼方と距離を取ってみて、最近ふと思うことがある。
 
 どうして、あんなにも彼方の傍に居られたんだろう、何故だろう?

 幼いころから一緒に居るのが当たり前で、それは自然なことで。----でも、それが不自然なことだったとしたら。

 一方通行の恋----ずっとそう思って、その一方だけを見つめ続けていた私。視点を変えて見渡せば何かが見えたかもしれない。

 もっと大切な、何かが……

 わたしは、見えるものしか見てない。