謝るのはきっと、ギターが弾けないからじゃない。

 謝るのはきっと、私を抱けないから私を愛していないから。


「ごめん、カナタ

 用事思い出した帰るね」


 彼方に見られないように彼方から視線を逸らし

 今すぐここから、彼方の前から消えようとしたのに……


「ユウ」


 私の腕をきつく掴む彼方の左手、私の顔を心配そうに覗き込む彼方の顔----


「バカ、カナタ、みないでよ
 
 知らん顔して帰してくれなきゃ

 ……

 もう、会えないじゃんか」


 涙で滲む視界、輪郭が何重にも見えてはっきりとは見えないはずなのに、彼方の表情だけはしっかりと分かる。

 何も答えない彼方、だけどその表情は語ってる。

 とっても困ってる。

 私の想いは、迷惑で面倒なだけだね。


 振り解いた、彼方の手。


「バイバイ、カナタ」


 私は荷物を持って慌てて靴を履き、彼方の部屋を出た。

 
 
 バタン!----閉まる扉の音に、傷つく二人----


 
 あの時、私をその腕に強く抱きしめてくれたのは錯覚----

 
 私はもう、いつものように貴方に会うことができなくなる。

 大好きな貴方に会わなければ、大好きな貴方を忘れられる。

 
 わたしはあなたを忘れる……